韓医学とは
韓医学システムの概要
韓医師制度の特徴
体系化された独立的な医療システム
韓医学は、1952年から国家保険医療システムに統合されました。
以降、体系的な科学理論システムとして独立的に分類され、医療法に依拠し、体系的に管理されてきました。
韓医学は、伝統医学が西洋医学との比較の中で民間療法として認識されている国の補完・代替医学とは画然と区分され、体系的な科学的根拠と国家機関の統制下に管理されている伝統医学です。
二元的制度:医療法により、韓医師、医師は同等の法的地位及び手続を規定されている
免許制度
6年制教育(学士学位)、国家試験合格後、保健福祉部長官免許取得、免許効力同一
独自的な診療及び指導権
他の医療人の指揮や監督無しに、独自的に診断、処方、治療及び医療指導権を行使
一般医療施術者としての資格
各種医療文書発給:診断書、検案書(死亡証明)、証明書、又は処方箋発給(医療法 第18条)
国家の専門医療人養成制度
専門医制度(医療法77条)
- 1999年立法、2002年から8つの科目で専門医試験実施
- 韓医師免許を取得後、指定された韓方病院で一般修練1年、専門修練3年課程の修練期間を経て、細部資格基準を充足した韓医師に受験資格を付与する
- 医療法77条:医師、歯科医師、又は韓医師として専門医に成ろうとする者は、大統領令に定める修練を経て、保健福祉部長官の資格認定を受けなければならない。
韓医学専門大学院設置
11の韓医科大学に続き、国立韓医学専門大学院は、2008年3月病院(西洋医)との「協診」構築を前提としてしたものであり、統合講義、臨床術技実習等、新しい教育方法論を導入することにより、韓医学教育の革新を先導している。
軍医官、公衆保険医師として服務
- 韓医師の公衆保険医師兵籍編入資格付与(兵役法202.12月改定)
- 軍医官として、軍部隊にて活動、又は保健所及び公共保健機関にて公共保健サ-ビスの提供
教育制度
韓医科大学の概要
- 韓医科大学は、1947年4年制として始まり、1963年から6年制に変更(予科2年、本科4年)
- 全国11か所の韓医科大学と、1か所の韓医学専門大学院があり、入学定員は750名、約4,700名の学生が在学中である。
- 韓医科大学の学部課程を履修後、韓医師国家試験を受験することができる
- 韓医科大学入学生水準:上位0.1~0.3%以内の最優秀学生
韓医師の法的地位
医療法上の医療人
- 韓医師は、医療法上の医師、歯科医と共に、医療人として規定される(医療法 第2条①)
- 医療人は、医療行為を通して国民保険の向上をはかり、国民の健康な生活確保に寄与する者として、医療法上、医師、歯科医、韓医師、助産師、看護師を規定する(医療法 第2条②)
医療人の資格要件
- 概要:国民の生命、人体及び公衆保険に重要な影響をおよぼすので、医療法及び同時施行令にて、医療人の資格及び取得の要件と手続きを規定
- 要件:医療法第5条1項
- (西洋)医学、歯科医学、韓医学専攻の大学を卒業し、学士学位を取得した者、或いは、専門大学院を卒業し、修士又は博士学位を取得した者
- 医療法が定める国家試験に合格及び、保健福祉部長官の免許取得
韓医科大学一覧
学校名 | 設立年度 | 定員 | ホームページ |
東義大学校 | 1979年 | 50 | www.deu.ac.kr |
東国大学校 | 1979年 | 72 | www.dongguk.ac.kr |
大邱韓医大学校 | 1979年 | 108 | www.dhu.ac.kr |
大田大学校 | 1921年 | 72 | www.dju.ac.kr |
東新大学校 | 1987年 | 40 | www.dsu.ac.kr |
嘉泉大学校 | 1989年 | 30 | www.gachon.ac.kr |
慶熙大学校 | 1947年 | 108 | www.khu.ac.kr |
国立釜山大学校 韓医学専門大学院 |
2008年 | 50 | kmed.pusan.ac.kr |
尚志大学校 | 1988年 | 60 | www.sangji.ac.kr |
世明大学校 | 1992年 | 40 | www.semyung.ac.kr |
又石大学校 | 1988年 | 30 | www.woosuk.ac.kr |
圓光大学校 | 1972年 | 90 | www.wku.ac.kr |
韓医科大学の教科課程
西洋医学科目(Western Medicine)を含む、統合医学的教育
韓医学、西洋医学の包括的な教育を受ける韓医師は、疾病に対して韓医学的な長点を持っており、教育、研究、及び診療において、競争力のある専門家として活動することのできる充分な能力を持つ
概要
- 西洋医学と韓医学の教育を通して、診断及び治療において、西洋医学と韓医学の長所を調和させることのできる利点がある
- 細分化された西洋医学に比べ、人体の疾病予防、診断、治療に対する部分的な接近ではなく、総合的な接近が可能な面に、長所と競争力を持つ
細部教科課程
予科課程必須(選択科目は各韓医大ごとに一部差異あり)
韓医学原論、漢文、医学漢文、医学英語、医史学、生理学及び実習、生化学及び実習、発生学、原典、医学気功学、医学統計学
本科課程
原典、解剖学及び実習、病理学及び実習、微生物学及び実習、生理学及び実習、予防医学及び実習、本草学及び実習、組織学、包剤学実習、免疫学、経穴学及び実習、薬理学及び実習、方剤学及び実習、傷寒論、超音波診断、法医学、保健法規、温病学、経穴解剖学、肝系内科学、心系内科学、脾系内科学、肺系内科学、腎系内科学、鍼灸学、婦人科学、小児科学、皮膚外科学、神経精神科学、四象医学、リハビリテーション科学、推拿学、放射線学、臨床病理学、等
韓医学の文化的特性
国民優先
韓医学は国民に等しく医学の恩恵を行き渡るよう努力
- 「郷薬集成方」:複雑な処方ではない、単純な処方を中心として治療処方を列記
- 「東医宝鑑」:各門(項目)ごとに、末尾に単方という題目で単味薬剤(1種類の薬剤)を提示
- 「済衆新編」「方薬合編」等の医書に「薬性歌」を記録。庶民のための「為民思想」の一端
- 複合処方の中国医学との差
人間中心主義
疾病中心主義に対する反対概念として、疾病の発生は各個人に原因があると考え、養生と体質に重点を置いて治療
- 「東医宝鑑」:疾病を中心にすることなく、人間を中心として構成
- 「東医寿世保元」:人間の体質を中心として疾病をとらえる
実用性
思弁的な理論よりは、実際性に優れた治療術に、より関心を注ぐ
- 「東医宝鑑」:各門(項目)ごとに、精選された言葉で理論と「脈方」等を列記し、疾病を分類し処方を併記、「禁忌」「不治の証」「単方」「鍼灸法」「養生法」等を併記している
独創性
「舎岩鍼法」「四象医学」「扶陽論」は、体系的な治療法として、韓国人に合った独特な医学水準を見せている
- 舎岩鍼法:審七情之浮沈:心の病はそのまま肉体の疾病として現れ、肉体の疾病は結局分離された内面の心から出発、即ち、肉体と心を一つと見る医学
- 四象医学:先天的に、臓腑の虚実があり、これに伴う喜怒哀楽の性情が適用し、生理現象として現れる
- 扶陽論:陽気を活性化させて、疾病治療。自ら病気の性情を把握し、病証を診断
国内 韓医 医療機関 現況
- 2018年基準 韓医病院:307 韓医院:14,295
- 韓医師は、診断のための現代医療機器及び道具の使用が可能
- 韓医師、医師の協議診療及び治療
- 専門分野:肥満、無菌、耳鼻咽喉科、審美治療および推拿等
大韓韓医師協会紹介
大韓韓医師協会は、韓医学を通して、国民の健康増進と生活の質(QOL)向上に寄与し、韓医学の育成・発展のために、たゆまなく研究し、努力する団体です。
主要機能
- 国民の保健向上及び、社会福祉増進に関する事項
- 韓医学発展と学術研究に関する事項
- 韓医学の国際交流に関する事項
- 会員管理及び利益保護
- 韓医学サービス活動
- 健康福祉部署担当業務
- 補習教育
- 専門医試験
- 禁煙鍼治療プロジェクト
等
大韓韓医師協会は、韓医学の世界化のための多様な交流協力活動を進めています。
韓医海外医療法師団(KOMSTA,since1993)
人道的活動
- 28か国 125か所で 医療サービスを提供
- 約22万名を治療
韓国国際協力団(KOICA)
- 政府派遣医師(2008~)
- 国際協力医師(カザフスタン、ウズぺキスタン、モンゴル)
- 海外 韓方病院及び韓医院支援(カザフスタン、ウズぺキスタン、モンゴル)
国際東洋医学会(ISOM)
- 1975年設立(本部国:韓国)
- 東洋医学に関する国際会議及びセミナー開催
- 国際交流及び協力
- 東洋医学についてに情報交換を通じた総合情報ネットワーク設立
- 国際機構との協力
(大韓韓医師協会提供資料より抜粋)